cocos2d Advent Calendar 10日目、2回目の投稿なのですけどすみません。まだまだ空きはあるので我こそはという方はどしどし参加してみてください。前回、12/9日目の記事は
@mybさんのこの記事でした。「
CCMenuでラベル付きボタン、長押しボタン」
さて、今回はcocos2dでゲームを作る上で考え方の参考になるような記事を書ければと思ってこれを書いています。
<初級編>cocos2dキャラクタークラス設計の考察●ゲームにおけるキャラクターに必要な要素 ゲームには多くの場合キャラクターが登場します。プレイヤーキャラクター、エネミーキャラクター、アイテムなんかもキャラクターに含まれるかもしれません。落ち物パズルなどでも落ちてくるブロックのパーツはキャラクターのようなものと考えられます。ゲームキャラクターにはどんな要素が必要なのか、まずは考えてみましょう。
・横スクロールのジャンプアクションの場合(スーパーマリオブラザーズなど) A・キャラクターの絵
B・動作によって変化する絵のパターン、場合によっては動く
C・画面上の障害物によって移動制限がある
D・何らかのアイテム効果によって変化することがある
E・やられると画面から消える
F・武器を発射することがある
G・別のキャラクターを発生させることがある
・トップビューのアクションRPGの場合(イースなど) A・キャラクターの絵
B・動作によって変化する絵のパターン、場合によっては動く
C・画面上の障害物によって移動制限がある
C2・画面上の建造物などによって一時的に隠れて見えなくなることがある
E・やられると画面から消える
・シューティングゲームの場合(ゼビウスなど) A・キャラクターの絵
B・動作によって変化する絵のパターン、場合によっては動く
E・やられると画面から消える
F・武器を発射することがある
G・別のキャラクターを発生させることがある
ざっと思いつく限り書いてみましたが、よくあるゲームジャンルではこんなところが求められるでしょうか。パズルゲームは特殊なのでここでは省きますね。他のゲームよりも求められる要素は少ないはずです。あとで復習がてら考えてみてくださいね。
では、代表的な要素であるA, B, Eを考えてみましょう。
●キャラクターの絵を扱う 基本的なCCSpriteの扱いとそれほど変わりません。そのままCCSprite型をキャラクターとして扱って構わないことも多いでしょう。キャラクターの絵が変化する場合には少し要素が増えます。たとえば、絵が変わるたびに新たにCCSpriteを生成して割り当てるとすると以下のようになります。gmCharaという名前でクラス定義したとして仮に書いています。
@interface gmChara : CCNode(あるいはNSObject) {
CCSprite *sprite; //キャラクター用スプライト
CGPoint accel; //加速度
int vital; //体力
...などなど
}
あるいは、CCSpriteを継承して絵のフレーム自体を変更する場合は以下のようになるでしょう。
@interface gmChara : CCSprite {
CGPoint accel; //加速度
int vital; //体力
...などなど
}
絵のフレームを変更するには、以下のようなコードで行うことができます。CCSpriteで使用しているテクスチャに必要な絵が全て入っていて、その一部を切り出して使用しているという状況が前提となりますが簡単に絵を変更できます。CCSpriteを再生成して割り当て直すよりも高速なはずです。CGRECT_FOR_NEWは新たに指定したい切り出し用のCGRectです。spriteはCCSprite型とします。
[sprite setTextureRect:CGRECT_FOR_NEW];
さて、これらの例に移動用の加速度パラメータはあるのに、移動後の位置を格納するプロパティは用意されていません。そうです。CCSprite自体に位置を扱うプロパティが存在するので、そちらを使う方が無駄が少ないからですね。ゲームの要求として表示位置とは別に位置情報が必要になる場合は別途プロパティを用意するべきでしょう。サイズ用のプロパティが存在しないのも同様の理由ですが、サイズの場合は当たり判定の大きさが絵の大きさとは異なることも多いので、別途プロパティを用意したほうがいいかもしれません。
実は、ElectroMasterやHungryMasterでは上記の方法でキャラクタークラスが構築されています。おそらく無駄が多いと思います。やっちまいましたね。
●やられると画面から消えるために 敵などをやっつけると、画面上から姿が消えるのがゲームのお約束であることはみなさんもお分かりのはず。
消すだけなら簡単です。絵を取り扱うCCSpriteを表示しなければ良いのですから。しかし、表示を消しただけではキャラクターの存在自体はメモリ上に残り続けてしまいます。ですから絵を消す代わりにキャラクターのオブジェクトを解放しちゃってもいいかもです。いいかもしれません。ゲームに登場するキャラが有限である場合はこれで十分でしょう。
では、ゲームに登場するキャラが無限に発生する場合は困ったことになります。敵が発生するたびにキャラオブジェクトを生成してゲームへ追加していくのも手です。一度倒してしまったキャラオブジェクトを再利用して追加のキャラとして復活させることもいいかもです。
A・キャラが有限の場合 ゲーム開始時にキャラオブジェクトを全て生成しておいて、倒すたびにクラス解放でいいでしょう。
倒せば倒すほど処理も軽くなりますね。
B・キャラが無限に発生する場合 1. キャラが発生するたびにキャラオブジェクトを生成してゲームへ追加とする。普通にやるとオブジェクト生成時のオーバーヘッドが大きいかもです。次善の策としてはひな形オブジェクトを用意しておいて、そのコピーを追加する。(newChara = [[chara copy] autorelease];とすればコピーが生成できますね)
2. キャラオブジェクトを再利用する場合。一度に画面に登場するキャラ数は事前に生成しておいたキャラオブジェクト数に制限されますが、キャラを初期値に最設定するメソッドを用意しておけば高速に復活させられそうです。また、一度に取り扱うキャラ数限界も管理しやすいので、メモリや処理能力的にも優しいかもです。手前味噌ですが、ElectroMaster, HungryMasterではこの方法を取っています。
●動作する絵のパターンを取り扱う(パターンアニメーション) キャラクターが移動すると、歩いたり走ったり、ジャンプボタンでジャンプしたり。敵に触ったら痛がったりというようなキャラクターの動きに関するものです。これが無いと物足りないですよね。多くはキャラクターの絵を複数用意しておいて、場合によって絵を切り替えて動いているかのように見せています。パターンアニメーションですね。
cocos2dの入門書ではパターンアニメーションについて扱っていて、そういう動作を割りと簡単に与えることができるように説明されています。単一のパターンアニメーションを指定するだけなら難しくありません。よく悩んでる人が多いのは、右に移動すると右向きの絵で歩く、左に移動すれば左向きで、上なら上向き、下なら下向きといったように場合に応じて使用されるパターンアニメーションが変化するときにどうするのがよいかということでしょう。
パターンアニメーションの定義は以下のようにできます。これは入門書にも書かれていますね。下記の例では、512x64のテクスチャを用意してあって、横方向に8枚の絵が並んでいる状態を元に、64x64の絵が0.3秒毎に変化していくというパターンアニメーションとなります。生成されたパターンアニメーションはCCRepeatForever型(CCAction系列として取り扱える)として最終的に定義されます。TEXTURE_FILE_NAMEはスプライトに使用するテクスチャのファイル名です。
CCTexture2D *texture =
[[CCTextureCache sharedTextureCache]
addImage:TEXTURE_FILE_NAME];
NSMutableArray *animFrames = [NSMutableArray array];
for (int x=0; x<8; x++) {
CCSpriteFrame *frame =
[CCSpriteFrame frameWithTexture:texture
rectInPixels:CGRectMake(64*x, 0, 64, 64)
rotated:FALSE
offset:CGPointZero
originalSize:CGSizeMake(64, 64)];
[animFrames addObject:frame];
}
CCAnimation *animation =
[CCAnimation animationWithFrames:animFrames
delay:0.3f];
CCRepeatForever *action =
[CCRepeatForever actionWithAction:
[CCAnimate actionWithAnimation:animation
restoreOriginalFrame:NO]];
これをCCSpriteへ適用してパターンアニメーションを実行するには、通常以下のようにします。
[sprite stopAllActions];
[sprite runAction:action];
こんな手順を適用するパターンアニメーションが変化するたびに行えば、パターンアニメーションを変更することが可能ですが、stopAllActionsを実行するとそれまで適用されていたアクションが解放されてしまうので、次に同じアクションを最適用する場合でも、新たに定義しなおしたアクションを与えなければなりません。となると定義に必要な処理が無駄になってしまいます。(stopAllActionsではなくstopActionを使用して名指しで停止するアクションを指定してあげても良いですが、同じことです)
では、パターンアニメーションのアクション再定義に必要な処理を軽くするためにはどうすれば良いでしょうか。キャラクターの絵について説明した部分でも書きましたが、1つの方法としては事前に定義しておいたアクションオブジェクトをコピーして与えてあげれば良いです。あらたにオブジェクトを初期化するよりも処理は軽いはずです。もう1つ考えられるとすれば、stopActionなどを行なっても解放されないようにretainしておくのも良いです。retainしておくにはCCArrayやNSArrayなどに格納しておくのが呼び出すのも楽なのでいいでしょう。
コピーして与える場合は、こんな感じでしょうか。事前にactionとして定義しておいて、使用する際に随時コピーします。コピーして与える場合は、キャラ毎にパターンアニメーションを保持するのではなく、キャラの種類毎に保持するような運用の場合に活きてきます。というのも単一のアクションオブジェクトを複数のスプライトに対して適用するとタイマーがそれぞれのスプライトから更新されて動作がおかしくなるため、各スプライトへ別々のオブジェクトを与えなければならないためです。個々のスプライトでアクションを保持していた場合はその点ではコピーする必要が無いと思われます。
[sprite runAction:[[action copy] autorelease]];
でも、actionをまとめて管理しておくにはやはりNSArrayやCCArrayに入れておくと思いますので、以下のようにしますよね。そうすると、CCArrayなどに格納した時点でretainされますので、アクション終了後に解放されなくなります。というわけで、メモリの占有率が変化しないこっちのほうがおすすめです。
@interface gmChara : CCSprite {
CCArray *actions; //パターンアニメーション保持用
...などなど
}
実際の適用はこちら。0番目に登録されているパターンアニメーションを適用させています。spriteはCCSprite型とします。
[sprite runAction:[actions objectAtIndex:0]];
以上のような取り扱いでうまく制御ができると思います。
ところで、ElectroMaster, HungryMasterでは、かなり無駄な組み方をしていたことに、この記事を書きながら気づいてしまいました。上記のようなCCArrayなどに予めパターンアニメーションを格納して管理していたところまでは一緒なのですが、CCRepeatForeverを噛まさずに入れておいてアニメーション適用時にいちいちCCRepeatForeverを生成して適用しておりました。なので、その部分がオーバーヘッドになってました。これには理由があって、毎回新たにCCRepeatForeverを生成しないと再生開始フレームが最初からにならないかもしれないって思っていたからです。しかし、実際にはそんなことはなく過去に再生済みのアクションであっても最適用すれば最初から再生されますので、要らぬ心配でした。それから、アクションをコピーしてから適用しておりました。これも無駄で、CCArrayなどに格納した時点でretainされいるためにアクション終了時に解放されないわけです。なので、解放を恐れてコピーすることも無かったということになります。以下はそのダメコードの例です。
id action = [[[actions objectAtIndex:0] copy] autorelease];
[sprite runAction:[CCRepeatForever actionWithAction:action]];
今回の記事はここまでにしておきます。今回解説しなかった障害物判定については機会がありましたらまた説明できればと思っています。次は
@Seasonsさんの予定と聞いております。楽しみー。ではー。
追記:11日目の記事はこちら:
@Seasonsさん「
cocos2dパフォーマンスチューニングTips」